障害者雇用では労働意識の低い人がかなり多い

一般就労の経験がある私が障害者向けの合同面接会に何度か参加してみて、驚かされたことがあります。
それは、「『障害者手帳 = 簡単に就職できるパスポート』のように思っている方も結構いる」ということです。

障害者枠は簡単に就職できるというこの考えは、健常者の方の中にも結構いるのではないかと思います。
ヤフー知恵袋などの質問サイトにて、「障害者ってだけで大手企業から採用を貰えるのはズルい」といった投稿も見つけたためです。

実際は全くそんなことはないと思っていますので、私が感じたことを書いてみます。

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合同面接会で出会った人の話

合同面接会にて、待機席との距離が近かったのと、周りのブースが静かだったためか、前の方のやり取りが鮮明に聞こえてきました。
精神障害(前職をうつで退職)の50歳前後と見られる方が並んでいました。

面接官がその方に志望動機を聞いたところ、「給料が良いからです。前に勤めていた会社が大手で、障害者雇用だとそれに近い給料をもらえる会社がほとんど無くて・・・」と答えたのです。

続いて、求める配慮について尋ねられていたのですが、「精神障害なので欠勤が多くなっても許して欲しい、休憩時間が欲しい、歳なので荷物の運搬の仕事は・・・」などと、かなり長い時間喋っていました。

一通り聞いた後、面接官が「では、一般事務の仕事で役立つスキルや経験はお持ちですか?」と質問したところ、「パソコンは使えます。」という一言で終わってしまいました。

そういう方が、給与などの条件の良い会社の列に並ぶのです。
障害者手帳を持っていれば誰でも簡単に人気企業から採用されると思われているのだろうか、と感じてしまいました。

ハローワークの専門相談窓口で出会った人の話

私がハローワークの専門相談にて、面接の相談に乗っていただいていたとき、隣に初めて来られたと思われる方が座られました。

その方が、開口一番「精神障害者手帳を取得すれば、大手企業で働けると聞いたのですが・・・」とおっしゃっていて、驚きました。

相談員の方も、条件の良いところには応募が殺到しますので簡単ではありませんよ、といった返事をしていたようでした。

相手が面接官ではなく相談員の方なので、本音で語っただけかもしれませんが、決して簡単ではないということは就職活動を続けていくうちに、嫌でも分かってくるのではないかと思います。

障害者枠でも一般枠の就職活動と同じ

一般枠では、いくら4年制大学を卒業しても、すんなり就職できるわけではありません。
大卒の方は世の中にたくさんいますから、ライバルより何らかの部分が上回っていないと採用されません。

障害者枠であっても同じです。障害者手帳を持っている、働きたい方はたくさんいます。
障害者手帳を持っているだけで良い条件で就職できるわけではなく、ただ単に「挑戦権」が与えられるだけです。

アスペルガーの傾向が強い方・コミュニケーションが苦手な方の中には、無自覚で色々な「ズレ」を生じさせてしまっている方もいるかもしれません。
そういった部分に自信の無い方は、ハローワークの専門相談などで入念に履歴書の添削をしてもらったり、面接練習をしておくべきです。

前述の例のような方を良い条件で雇ってくれる企業はまず存在しないと思います。
障害者枠であっても高い給与体系で雇うという会社は、単にCSR活動の一環という場合もあるかもしれませんが、どんな会社でも「周りの士気を下げる障害者」だけは雇いたくないはずです。

一般枠の方々に負けない労働意欲が必要

実際に就職活動をしていて良く分かるのは、障害者手帳は決して「魔法のカード」ではない、ということです。
それを履き違えているのかな、と感じる参加者も多かったことが、一般的に「精神障害者は採用されにくい」と言われるなかで、私が前向きに就職活動を続け結果を出せた理由です。

周りのライバルの動向を気にしながら就職活動をしていましたが、はっきり言って、労働意識の低い方はかなり多くおられます。
精神障害者は雇用されにくい、といったことを良く聞きますが、そういった方々に勝てる能力や自信があれば、精神障害者の採用を全く考えていない企業でなければ、きちんと採用されています。

就職活動に行き詰まってしまっている方も、「『周りの士気を下げる障害者』の反対」になるだけで、驚くほど好転してくるはずです。

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コメント

    • masa123
    • 2017年 9月 29日

    記事を読ませていただきました。

    私は、もうかれこれ10年以上障害者枠で働いている身体障害者です。
    サーナの就職セミナーに何年も通い続け、やっとの想いで就職しました。

    自分が就職活動をしていた時は、このようにとても丁寧に障害者雇用における活動状況を記載しているブログ等はなく年単位の就職活動となってしまい、不安との戦いで、とてもつらい就職活動を経験しました。
    しかも、学生の頃は、回りが公務員や民間企業に就職が決まっている人が多かった半面、自分は、障害者手帳もなく就職活動自体成り立たず、学校側も手の施しようがない状況となり、結局、無業のまま卒業するという苦い経験もありました。

    障害者枠で働いているといっても、いざ、働きだすと健常者も障害者もあまり関係なしに業務をしていくような感じになりますね。(働き始めの頃は、上司に何らかの形で毎日、お叱りを受けるという日々でしたから、、、)

    色々と関連記事を読むと活動時の苦労を思い出す部分もありますが、障害者枠での就職を希望している人にとってはとても参考になる記事です。これからも記事の掲載を続けてください。

      • yuu
      • 2017年 9月 30日

      masa123さん

      初めまして。コメントくださりありがとうございます。

      10年以上前に、数年にわたって障害者雇用での就職活動をされていたとのこと、今よりも周囲の理解等は少なく、就職はとても大変だっただろうと思います。
      また、社会人としての大先輩ですので、長く働くぶん辛いことも多くあったであろうとお察しします。

      私も、職場では障害者雇用であることを忘れている時間がほとんどです。
      辛いことも多いですが、働けなかったときや就職活動で良い結果がなかなか出ないときに比べると、恵まれているなと実感します。

      また、障害者雇用であっても、間違いはきちんと指摘してもらえる。関係なしに業務を任され評価される。
      そういう環境で働いているmasa123さんや私は、自己肯定感などの人間的な成長の機会を与えられた幸せ者なのだろう、なんて最近思っています。

      記事にも書きましたが、「楽に採用をもらい、楽に働きお金をもらいたい」と考えて障害者枠に応募する方が多いことに驚かされました。
      私の職場にも、「どうしてそんなわがままが許されるのだろう」というくらい、無茶苦茶な障害者の方がいます。

      それって、とても勿体ない気がするんですよね。「楽=楽しい」ではないと思っています。

      意欲の低い方ではなく、真剣に働きたいと考えておられる方に、参考になる記事を書きたいです。
      もっと言えば、私自身の振り返りのため、行き詰ったときに読み返せるように、濃い内容を残していきたいです。

      基本的には発達障害や精神障害の方に参考になればと思い書いていますが、良かったらまた遊びにいらしてください。

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